2026年8月13日
特定空家に指定されると、固定資産税は最大6倍になる
「建物を壊すと固定資産税が上がるから、ボロボロでも建てたままにしておくほうが得」。空き家の世界で長く信じられてきた常識です。半分は本当で、半分はもう古い。順番に説明します。
そもそも、なぜ壊すと税金が上がるのか
住宅が建っている土地には「住宅用地特例」という減額があり、200㎡までの部分は固定資産税の課税標準が6分の1になっています。家を壊して更地にすると、この特例が外れて土地の税額が上がる。これが「壊すと損」の正体です。だから、傷んだ家でも建てたままにする人が多かった。
その抜け道を、国はふさぎました
危険な空き家が増えたことを受けて、自治体は状態のひどい空き家を「特定空家」に指定できるようになりました。倒壊のおそれがある、衛生上有害、景観を著しく損なう、といった状態の家です。指定後は助言・指導、それでも直さなければ勧告。この勧告を受けた時点で、住宅用地特例が外れます。家が建ったままでも、です。つまり税額は最大6倍相当に跳ね上がります。
さらに2023年12月の法改正で、特定空家の一歩手前の「管理不全空家」——窓が割れている、草木が茂り放題といった段階——も指導・勧告の対象になりました。勧告されれば、やはり特例は外れます。ハードルは目に見えて下がっています。
行きつく先は、強制解体と請求書
勧告の先には命令があり、従わなければ行政代執行、つまり自治体による強制解体まで進みます。解体費用は当然、所有者に請求されます。木造家屋の解体は100〜300万円ほどかかることが多く、拒否しても財産の差し押さえで回収されます。「放っておけばいつか自治体がタダで壊してくれる」は、成立しません。
「持っているだけ」の損益分岐が変わった
この制度変更が意味するのは、シンプルなことです。傷んだ空き家を放置する選択肢の値段が、上がり続けている。昔は「建てたままなら税金は安い」で止まっていられました。いまは、傷みが進むほど、6倍の税額と強制解体のリスクが近づいてきます。まだ家に値段がつくうちに動くか、値段が消えて費用だけが残ってから動くか。時間は、後者に向かって流れています。